Hack & Slash & Eat (or Die)
この記事は Roguelike Advent Calendar 2013 の21日目の記事です。
前回の記事(id:dplusplus:20131214)では最近のNetHackヴァリアント事情についてひとくさり記事を書きました。
今回は、「NetHackってどういうゲームなの?」という点について個人的な感想を交えつつお伝えしていこうと思います。
何をするゲームなの
あなたは神様のパシリとして「イェンダーの魔除け」というアイテムを取りに運命の大迷宮というダンジョンにやってきました。がんばって取ってきてね!
物語の導入としては以上です。あ、あと途中で故郷の仲間が助けを求めてくる「クエスト」もあります。
もうちょっと詳しく
NetHackは「ローグライク」というジャンルに属するゲームです。
先祖である"Rogue"と同じく、ランダム生成されたダンジョンを探索しつつ、敵を倒しながらキャラクターを強くしていき、数々の困難を乗り越えゲームクリアを目指すといった方針は変わっていません。ただ、Rogueとは違って上の階層に戻ることもできます。
angband系と違い一度生成された階層は固定され*1、また「地上の街」のような無限に補給可能なポイントもありません。
潜れ! 倒せ! そして……食らえ!
NetHackは迷宮に潜るゲームです。持ち込んだ食料があるにせよいずれ尽きてしまい、何かを食べなければ餓死するのは必定です。
そこでどうするか?
モンスターを倒して、その死体を食うことが序盤の戦略です。
※まともな食料のみで食いつなぐのも可能ですが、いわゆる「縛りプレイ」の範疇になります
また、モンスターの肉を食うことでプレイヤー自身が様々な耐性を身につけることができ、食糧補給と同時に自らを強化することにも繋がります。(赤ドラゴンを食べると火への耐性など)
でもご用心! うかつに変なものを食べると食中毒、石化、スライム化など抜き差しならない状態に陥りますし、安全な肉だからといって食べ過ぎるとのどに詰まらせて死んでしまいます。
同族食らいも恒久的なペナルティがつくのでおすすめしません。
NetHackの「死体を食べて自らを強化」というフィーチャーのため、キャラもの二次創作が困難となっているのはいかんともしがたいところです。
多彩なコマンド・アイテムとそれによる幅広い戦術
NetHackには多くのコマンドがあり、常用するものから使うのが珍しいものまで様々あります。
ここで一つ、kickコマンドに着目してみましょう。文字通り足で蹴るコマンドです。
kickコマンドは以下のようにして使うことが出来ます:
- 鍵のかかったドアに使って、ドアを蹴破る
- 鍵のかかった宝箱に使って鍵をこじ開ける
- モンスターにダメージを与える
- 床の上のアイテムを蹴って移動させる
- 木を蹴って果物をゲット
- などなど……
NetHackは多彩なコマンドとそれに関連付いた様々な効果により、(無限ではないにしろ)幅広い戦術を試すことができます。
ただ、状況によっては悪い結果を招く場合も当然あります。上のような場合、
- 店のドアを蹴破って店主を怒らせる
- 宝箱の中の割れ物が壊れる
- 靴を装備せずに石化の魔力を持ったモンスターを蹴って石化する
- 割れ物を蹴って壊す
- 木を蹴って蜂が飛んでくる
状況を把握して有効なコマンドを使うことがゲームクリアへの近道です。
また、ゲーム中に現れる様々な魔法のアイテムを用いても様々な行動が可能です。
あなたはうっかり水たまりに落ちてしまい、命からがら這い上がりました。 しかし荷物を詰め込んだ道具袋を手放してしまい、水の底に沈んだままです。 さてどうしよう?
このような状況を打開するにもいろいろなアプローチができます。
- 吹雪の杖で水を凍らせて掘る。
- 巻物を読んで埋め立てて掘る。
- 炎の杖で水を蒸発させる。
- 瞬間移動の杖で袋をどこかに移動させる。
- 水中呼吸の魔除けを装備して潜る。
- 水棲モンスターに変身して潜る。
- などなど……
これらは一例ですが、他にも多種多様なプレイングが可能です。
いろんなゲーム内メッセージ
全てが文字で表されるNetHackですが、その量は膨大で、ある種偏執狂的なものがあります。
一例を挙げると、「幻覚」というバッドステータスにかかっている状況では、あらゆるメッセージが(薬物中毒になったかのような)へんてこなものになってしまいます。
しかし幻覚状態はモンスターが正しい姿で認識できないなど危険な状態なので、大抵即座に回復されます。
まさに無駄としか言いようのない機能なのですが、異様に力が入っているのでついつい探してみたくなります。
全部探してみたいという人は、ソースコードが公開されているので読んでみましょう。
死を楽しもう
ローグライクの常として、恒久的な死(permanent death)という要素があります。一旦ゲームオーバーになると、そのキャラクターは死を迎え、また一からやり直すこととなります。
その際、以下のようなメッセージが表示されます。
このように「(モンスター名)に殺された」という死因はよくあることですが、他にも様々な死に様が存在し、突飛な死に様を追求するプレイヤーも存在します。
- 落馬して死ぬ
- 火の付いた油の瓶を頭の上に投げて落ちてきたダメージで死ぬ
- 階層間テレポートで行き先に空中を指定して死ぬ
- 石化の魔力を持ったモンスターの死体を装備して死ぬ
- 罠にかかった石化の魔力を持ったモンスターを助けようとして死ぬ
- その他いろいろ石化して死ぬ
プレイヤースキルが命であるローグライクにおいて、死(ゲームオーバー)はあなた自身のスキルを高めてくれる教師です。せっかくだから死を楽しみながら遊んでみましょう。
……まあ、たまには理不尽な死もあるんだけどね。
まとめ
NetHack楽しいよ、こわくないよ。
次回予告
次はdeskullさんにバトンタッチ!
*1:つまり、どこかの階層に置いてきたアイテムを「取りに戻る」ということが可能であり、同時に「生成された強いモンスターが居座る」ということも意味します